お問い合わせフォーム弁護士プロフィール医療機関のための弁護士相談 リーガルコンサルタントのご案内

医療体制

医療法人の管理(運営)

医療法人には、役員として、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければならないとされます。ただし、理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、1人又は2人の理事で足りるとされています(医療法46条の2第1項)。
医療法人の業務は、定款又は寄附行為に別段の定めがないときは、理事の過半数で決するものとされています(医療法46条の4第3項)。
そして、理事のうち1人を理事長とし、定款又は寄附行為の定めるところにより、医師又は歯科医師である理事のうちから選出するものとされ(医療法46条の3第1項)、この理事長が医療法人を代表し、その業務を執行します(医療法46条の4第1項)。
このように、医療法人における理事長、理事が株式会社でいうところの代表取締役、取締役のような地位におかれるのに対し、株式会社でいう監査役にあたるのが監事です。
監事は、医療法人の業務・財産の状況を監査するとともに、医療法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後3月以内に社員総会又は理事に提出するなどの職務が課されています(医療法46条の4第7項)。
このように監事は、医療法人に対する内部的な監督にあたる機関ですから、監事は、理事又は医療法人の職員(当該医療法人の開設する病院、診療所又は介護老人保健施設(指定管理者として管理する病院等を含む。)の管理者その他の職員を含む。)を兼ねてはならないとされています(医療法第48条)。

理事の選任については、社団たる医療法人については、定款に特別の規定がない限り、社員総会で決定します。財団たる医療法人については、寄附行為で規定されます。
社団たる医療法人については、社員総会で社団の基本的な意思決定をし、それを受けて理事及び理事長が業務執行にあたるとともに、監事とともに、社員総会が理事の業務の監督にあたりますが、財団たる医療法人には、社員が存在せず、社員総会がありません。
そこで、医療法は、財団たる医療法人には評議員会を置くこととし、理事長は、次の事項について、あらかじめ、評議員会の意見を聴かなければならないとされます(医療法49条の2)。

  1. 予算、借入金(当該会計年度内の収入をもつて償還する一時の借入金を除く。)及び重要な資産の処分に関する事項
  2. 事業計画の決定又は変更
  3. 寄附行為の変更
  4. 合併
  5. 目的たる業務の成功の不能による解散
  6. その他医療法人の業務に関する重要事項で寄附行為をもつて定めるもの

■病院長について
病院長については、医療法に明文の規定はありません。
しかし、医療法10条第1項に「病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が医業をなすものである場合は臨床研修等修了医師に、歯科医業をなすものである場合は臨床研修等修了歯科医師に、これを管理させなければならない。」と規定されており、多くの場合、病院長とは、この病院(診療所)を管理する医師にあたるものと考えられます。
病院又は診療所の管理者は、その病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督し、その業務遂行に欠けるところのないよう必要な注意をしなければならないとされています(医療法15条1項)。
そこで、理事長が医療法人の代表機関であり、業務執行機関であるのに対し、病院長は、その病院(診療所)の管理者にあたるということになります。
そして、医療法上、病院の管理者は、原則として、医療法人の理事となるべきこととされています(47条1項) 。

■非営利性
医療法54条は、「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」と定めています。医療法人は、株式会社と異なって、剰余金を社員等に分配することを目的としない非営利法人ですから、医療法人は、業務活動の結果として剰余金が発生していも、社員等に配当することは許されません。
但し、平成18年改正法施行時点で存在している持分の定めのある社団たる医療法人(医療法人の大多数を占めるのが現状です)については、経過措置的に、改正前の医療法が適用され、従前通り、時価での持分の払戻等が認められていますので、社員が退社する際には、持分の払戻を受けることにより、事実上、医療法人がその活動により獲得した剰余金の配当を受ける結果となってしまいます 。

■社員総会と理事会
社団法人たる医療法人においては、社員総会と理事会という2つの意思決定機関がおかれます。
社員総会は、医療法人の基本的な事項に関する意思を決定する機関であるのに対し、理事会は、医療法人の業務を決定する機関です。
医療法人を安定した経営状態におくには、2つの意思決定機関において多数派を形成することが重要ですが、より重要なのは、社員総会で多数派を形成することです。
なぜなら、社員総会は「社団たる医療法人の業務は、定款で理事その他の役員に委任したものを除き、すべて社員総会の決議によつて行う」(医療法48条の3第7項)とされ、理事の任免もその決議事項とされるからです。

(千賀 守人)

医療機関・企業・個人の法律相談はあいわ総合法律事務所へ
中小企業に関する法律相談
成年後見に関する法律相談
医療機関に関する法律相談はこちら
会社の従業員管理は適切ですか?
費用について