医療体制
医療体制について
医療体制をどうするか。
医療事業を営む法主体としては,様々な形態が認められていますが,公的な機関は格別,私人が医療事業を営む場合には,個人で病院・診療所を開設する場合と医療法人が病院・診療所を開設する場合が考えられます。
厚生労働省の医療施設動態調査(平成25年2月末概数)によれば,全国に8,563存在する病院のうち,医療法人による病院数が5,713であるのに対し,個人による病院数は338にとどまります。また,診療所についても,全国に100,180存在する診療所のうち,医療法人による診療所数が38,058であるのに対し,個人による診療所数は45,254と,医療法人による割合がかなりの部分を占めています。
このように,現在の医療事業を営む主体としては,病院のみならず,診療所においても,医療法人による形態が多くの比重を占めており,ことに病院という規模の医療事業を営むには,主体を医療法人化することが主流となっています。
では,病院・診療所を医療法人化するメリットは,どこにあるのかというと,次の点が指摘されています。
- 個人による運営の場合,個人の死亡や能力喪失といったことにより,医療事業を営む主体は消滅するのに対し,医療法人化すると,独立性のある永続的な組織を形成することが可能となります。
- 病院・診療所の運営のための財産及び計算を医師・歯科医師の個人財産から分離し,業務及び計算の明確性を確保することが可能となります。
- 病院・診療所の債権者は,医療法人の財産のみを引当とし,医療法人の社員らは,原則として,有限責任を負うにとどまります。
- 医療法人化すると,分院の解説や訪問看護ステーションなど附帯業務を営むことが可能となります。
- 医療事業を個人で営む場合に比較して,税の軽減効果が見込まれます。
医療法人として,病院・診療所を健全に運営をしていくためには,どうしたらよいのか,これは,多くの医師・歯科医師の方々が抱えている問題だと思います。
ここでは,健全な医療体制を確立するために,その前提として,基本に立ち返るべく,次のように医療法人の枠組みを分類し,みていきたいと思います。
(千賀 守人)