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財産の管理

特許権のQ&A

Q1.特許権を取得すると何かいいことがありますか。

 特許権をはじめとする知的財産権を登録して権利化するということは、
 ・権利者がその権利を排他的に独占できること、
 ・第三者が使用することを禁止できること
を意味します。従って、自分の発明を独占的に利用して利益を上げることが目的といってよいでしょう。
 ただし、権利を登録するということは権利の内容を第三者に公開するということも意味しますので、会社の秘密(ノウハウ)として保持したい場合は、あえて出願登録しないという選択もあり得ます。

Q2.特許権はどのような場合に取得できますか。

 特許の要件としては、
 1)産業上利用できる発明であること
 2)新規性、進歩性
等の要件を満たすことが必要です。特許権は、「産業の発達に寄与することを目的」とするとされており(工業所有権の一つ)、@は当然の要件とされております。
 また、特許制度は、新しい発明を奨励することにあるので、客観的に新しい発明であって、公知又は公用の技術に基づいて容易になしえないものでなければなりません。
 その他、特許を受けることができない発明(特許法台32条)に該当しないことも必要です。

Q3.特許権取得までの手続きはどのようなものですか。

(手続き図 工事中)

Q4.特許権を取得するといつまで権利を保有できますか。

 特許権の存続期間は、特許出願の日から20年間です。

Q5.特許権の取得にはどれくらいの費用がかかりますか。

 特許庁に支払う手数料は、基本的に
 1)出願時、
 2)審査請求時、
 3)登録時、
 4)毎年の特許料
等が必要になります。その額の詳細については特許庁のホームページをご参照下さい。
 なお、出願手続き等を弁理士に依頼する場合は、その他に弁理士の手数料が必要になります。

Q6.第三者が特許権を使わせて欲しいと言ってきました。どうしたらよいですか。

 特許権の特徴として、独占権・排他権をあげましたが(Q1)、権利者自身が実施する場合以外に第三者に実施させることもできます。その場合には、ライセンス契約を締結し、実施させる権利内容、対価、関連発明の帰属など予め定めておくのが通常です。

 また、ライセンスする権利内容にも、大きく分けて
 1)専用実施権
 2)通常実施権
 があります。1)は、第三者が独占的・排他的に実施できる権利で、権利者といえども当該発明を実施することはできませんし、ライセンス契約だけでは足りず特許庁の原簿に登録しないと効力が生じません。
 2)は、第三者に対し独占的・排他的な実施を許諾するものではなく、権利者も実施ができ他の第三者に対しても重ねてライセンスすることが可能ですし、ライセンス契約のみで効力が生じます。

Q7.第三者が自分の特許を無断で使用している場合に、その第三者に対し何ができますか。

第三者が自分の特許を無断で使用している場合は、特許権の侵害となります。
このような行為を発見した場合には、速やかに対応することが必要となります。放置しておきますと、シェアを奪われるなどの営業上の利益を損なうばかりか、粗悪品が出回ったりすると権利者の信用を毀損するだけでなく取引先にも損害を被らせるおそれがあります。

 第三者がかかる行為を行っている疑いを発見した場合は、まず、1)第三者の行為を詳細に調査し、権利侵害かどうかを検討する必要があります。その上で、権利侵害だと判断した場合は、2)第三者に対して権利侵害している旨の警告書を出すのが通常でしょう。そこで円満に解決すればよいのですが、残念ながら解決しない場合には、3)裁判上で解決するしかありません。

裁判上の請求としては、
 ・侵害行為の差止請求
 ・損害賠償請求
 ・不当利得返還請求
 ・信用回復に必要な措置請求
などの請求が考えられます。
 その他、刑事上でも、特許権侵害者に対しては5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処すると定められております(特許法第196条)。

Q8.第三者の特許権なのですが、昔どこかで見たことがあります。それに対し何か言えますか。

 仮に、当該特許権の出願前から公知であったような場合は、特許要件を具備しないのにそれが看過されて登録された可能性があります。その様な場合は、事後的に当該特許権を無効にする手続きが定められており、当該特許権に対し特許要件を欠いているという根拠(証拠)を添えて特許庁に無効審判を請求することとなります。
 審判で当該特許権が無効と判断されれば、はじめからその権利が存在しなかったものとなります。

Q9.第三者から特許権侵害の警告書が届きました。どうしたらいいですか。

 警告書をそのまま放置しておきますと、通常は訴訟に発展していきます。

 そこで、警告書を受けたらまず、
 1)正当な権利者による有効な権利に基づいたものであるか
 2)権利内容の調査
 3)御社実施品(行為)が権利範囲に属するか
 4)御社が実施するにあたり正当な権原を有するか
 5)権利に無効理由が存在するか
 等を検討する必要があります。
 ただし、このような検討は、やはり専門家である弁護士・弁理士に相談する必要があるでしょう。  

(鷹見雅和)

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