お問い合わせフォーム弁護士プロフィールリーガルコンサルタントのご案内

財産の管理

著作権のQ&A

Q1.著作権はどのように取得できるのでしょうか。

 著作物を創作した時点で発生し、特許権や商標権とは異なり、何らの手続も必要としません。

Q2.どのようなものが「著作物」として保護されるのでしょうか。

 著作権法第2条1項1号に「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義されております。従いまして、単なる事実やアイデアそのもの、模倣、工業品等は保護されないことになります。具体的には、著作権法第10条1項に、
1 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
2 音楽の著作物
3 舞踊又は無言劇の著作物
4 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
5 建築の著作物
6 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
7 映画の著作物
8 写真の著作物
9 プログラムの著作物
  が例示されております。

Q3.著作者はどのような権利を有していますか。

 著作物を創作した者は著作者と呼ばれ、著作者の人格的権利を「著作者人格権」、財産的権利を「著作権」といいます。「著作者人格権」は、「公表権」、「氏名表示権」、「同一性保持権」によって構成され、著作者の人格的権利を保護するものです。また、「著作権」は、「複製権」、「上演権及び演奏権」、「公衆送信権等」、「展示権」、「譲渡権」などの種々の権利で構成されています。

Q4.著作者と著作権者とはどう違うのですか。

 著作物が創作された時点では、一般に、著作者と著作権者とは一致します。しかし、著作権はA3で述べたとおりの内容を有し、それらは第三者に譲渡することが可能です。従いまして、著作権者は、著作者とは異なる者となることが可能です。これに対し、著作者人格権は著作者に一身専属的に属し、譲渡することはできないとされております。

Q5.著作権の保護期間は。

 原則として、著作物の創作の時から著作者の生存期間中及びその死後50年間です(著作権法第51条)。例外として、無名・変名の著作物は公表後50年(同法第52条)、映画の著作物は公表後70年(同法第54条)等の規定が置かれています。

Q6.著作権の登録制度とは何ですか。

 A1のとおり、著作権は何らの手続も要せずに生じますし、権利の移転にも登録は必要とされていません。しかし、著作権に関わる取引の保護等に鑑み、法律上登録制度が設けられております。登録することにより、著作権の移転(第三者への譲渡等)についての第三者対抗要件となったり、創作又は公表の年月日に関する証明とすることができます。

Q7.他人の著作物を使用したいと思います。どのような方法をとればよいでしょうか。

 著作権者に無断で著作物を使用すると、著作権侵害を問われる可能性があり、また著作者の人格権を侵害するような方法で使用すると、著作者人格権侵害を問われることになります。従いまして、まず当該著作物の著作権者に対し、使用の許諾、同意を得る必要があります。その際、包括的に許諾を得る場合もありますが、使用の態様によって、複製権のみ、上演権のみ又は貸与権のみなど、著作権の内容を限定して許諾を得る場合もあります。 また、改変等を行う場合には、著作者の著作者人格権を侵害しないように、著作者からも許諾、同意を得る必要があります。そのような許諾、同意は、ライセンス契約の形で書面化されるのが一般的です。
 なお、著作物は、自由な利用が認められる場合もありますが(私的使用のための複製、教育目的等のための利用)、ビジネスで利用する場合は、かかる権利制限に該当することはまず考えられませんので、著作権者等の許諾を得て使用する必要があります。

Q8.従業員に業務で自社のホームページを作成してもらいました。その場合の著作権はどうなりますか。

 ホームページの原稿、写真等も当該従業員の創作であるという前提としますと、ホームページの著作権は、作成した従業員に帰属するのが原則です(A1参照)。しかし、著作権法では、一定の要件下で、従業員の雇い主が著作者となることが定められています(同法第15条)。つまり、@法人その他使用者(法人等)の発意に基づき、A法人等の業務に従事する者が、B職務上作成する著作物で、C法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの場合には、当該法人等が著作者であるとされております。ただし、契約、勤務規則その他の定めで、これとは異なる取り決めもすることができます。従いまして、会社のホームページを業務命令で作成したような場合は、契約等がない限り、会社が著作者となるといえるでしょう。

Q9.第三者が自社の著作権を侵害しているようです。それに対抗するにはどのような手段が考えられますか。

 第三者による著作権侵害に対しては、民事上の救済及び刑事上の制裁が可能です。
@民事上の救済
著作権又は著作者人格権が侵害され、不法行為が成立する場合には、権利者が被った損害を請求することができます。その場合、財産的損害のみならず、精神的損害(慰謝料請求)を請求することも考えられます。そして、著作権法は、権利者が損害額の立証を容易にするため、特別の規定を設けております(同法第114条以下)。
A刑事上の制裁
著作権侵害に対しては、刑事罰も設けられております。例えば、著作権、出版権、著作隣接権を侵害した者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれらの併科の対象となる旨規定されております(同法第119条1項)。

Q10.第三者から特許権侵害の警告書が届きました。どうしたらいいですか。

 警告書をそのまま放置しておきますと、通常は訴訟に発展していく可能性が高いでしょう。特許権や商標権の場合には、権利が特許庁に登録されておりますので、権利者の調査や権利内容の調査が比較的容易に行えます。しかし、著作権の場合には、権利者や権利内容を第三者が調査することはなかなか困難です。そこで、そのような警告書を受領した場合には、まず警告書の通知人に対して、通知人が正当な権利者であってどのような権利を有しているのか等を確認すべきでしょう。その上で、自分が使用している著作物との比較・検討を行うことが必要となります。ただし、このような検討は、やはり弁護士等の専門家に相談する必要があるでしょう。

(鷹見雅和)

ご相談はこちらから

成年後見に関する法律相談
相続に関する法律相談
医療機関に関する法律相談
一人で悩まずまずはご相談ください。
会社の従業員管理は適切ですか?