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遺留分

決定相続について承認・放棄につい遺産分割について

遺留分の定義

人は、遺言により、死後の自己の財産を原則として自由に処分することができますが、一方で遺族の生活維持や公平な財産の分配等の要請から、一定の制限があります。その制限を定めた制度が遺留分制度です。

遺留分とは、一定の相続人(遺留分権利者)に法律上留保することを保障された相続財産の一部をいいます。民法では兄弟姉妹以外の相続人に遺留分が定められており、直系尊属のみが相続人である場合は被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1となっています(民法1028条)。

遺留分の基礎となる財産は、相続開始時に被相続人が有していた財産の価格に、その贈与した財産の額を加え、債務全額を控除したものです(遺留分の基礎となる財産=相続開始時の財産+贈与+特別受益−債務)。

慰留分権の行使方法

被相続人のなした遺贈・贈与の結果、遺留分額に満たない場合には、その遺贈・贈与を減殺して、この財産額の回復を求めることができます。この権利を遺留分権といいます。

ただし、遺留分額に相当する財産が当然に遺留分権者である相続人に与えられるわけではありません。相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内に遺留分権利者が遺留分減殺請求権を行使する必要があります。また、相続開始の時から10年を経過すると遺留分減殺請求権は消滅します。

減殺請求は、受遺者や受贈者に対する権利者の一方的な意思表示です。行使の方法は、裁判上の請求に限られず、抗弁の形式や裁判外の意思表示による行使でもかまいません。ただし、裁判外の意思表示の場合は、事後の立証のために配達証明付内容証明郵便で請求の意思を明らかにしておくべきです。

なお、遺留分権利者からの遺留分減殺請求権に対しては、遺贈や贈与を受けた者は現物返還をする代わりに価額弁償をして、現物返還を免れることができます。価額弁償の場合の価額算定の基準時は、現実に弁償がされる時の価格とされています。

遺留分に関する民法の特例

遺留分制度は、中小企業の円滑な事業承継において問題が生じる場合があることがあります。株式を後継者に集中して相続させると、評価額によっては遺留分減殺請求によって株式が分散してしまう等です。

後継者ではない相続人に遺留分を事前に放棄してもらう方法(遺留分の放棄(民法1043条)もありますが、各推定相続人の負担が大きい等の理由で実際上は利用しにくくなっています。

そこで、中小企業の事業承継の要請から、遺留分に関しては、民法の特例が設けられています(「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」第3条以下)。

同制度は、後継者に贈与等された企業の株式について、遺留分算定の基礎財産から除外したり(除外合意)、遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定すること(固定合意)ができます。

手続きについては、株式の評価、経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可等が必要なほか、時間的制約もありますので、専門家に相談することが必要でしょう。

(大河内 將貴)

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